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認知症でも入居できる老人ホームの種類は?選び方と費用を解説

2026 10/12
老人ホーム
2026年10月12日

「親が認知症になったら、老人ホームには入れないのでは」と考える方は多い。

実際には、認知症の診断を受けた方でも入居できる施設はいくつもある。症状の段階や暮らし方に合わせて選び分けるのが基本の考え方だ。

どの施設にも、受け入れられる症状の範囲や得意なケアの形がある。合わない施設を選んでしまうと、本人も家族も負担が大きくなりやすい。

逆に、本人の症状や暮らし方に合った施設を選べれば、落ち着いた日々を取り戻せるケースも多い。施設選びは「諦める準備」ではなく「本人に合う環境を探す作業」だと捉えたい。

この記事では、認知症の方が入居できる老人ホームの種類と違い、選び方の基準、費用の目安までを順番に整理する。

目次

認知症の人が老人ホームを探すときに知っておきたい基本

認知症の方の老人ホーム探しは、症状が軽いうちから情報を集め始めるのが望ましい。

施設によって受け入れ可能な認知症の段階が異なり、探し始めるタイミングで選べる選択肢の幅が変わってくるからだ。慌てて決めると、本人に合わない環境を選んでしまうこともある。

認知症の進行度によって検討すべき施設が変わる

認知症には、本人が自分で身の回りのことをある程度できる軽度の段階から、常時の見守りや介護が必要な重度の段階まで幅がある。

軽度から中度であれば、少人数で家庭的な環境を保つグループホームが選ばれやすい。日常の家事や会話を通じて落ち着いて過ごせることを重視する施設が多いためだ。

一方、医療的なケアや頻繁な介護が必要になってきた場合は、介護付き有料老人ホームや特別養護老人ホームのほうが対応しやすい。

症状は一方向に進むだけでなく、環境を整えることで落ち着く時期もある。「今の状態」だけでなく「数年後にどうなりそうか」という見通しも踏まえて施設を選びたい。

厚生労働省の資料によると、認知症高齢者数は2025年に約471.6万人、2022年は443.2万人と推計されている。厚生労働省の資料によれば、65歳以上の高齢者における有病率は12.9%にあたる。

決して珍しい病気ではない。同じ悩みを抱える家族は多く、それぞれの地域に対応できる施設がある。

認知症の受け入れ態勢は施設ごとに差があり、同じ種類の施設でも対応の幅は一様ではない。種類の違いを理解したうえで、個別の施設の特徴も見ていく必要がある。

家族だけで抱え込まず早めに情報収集を始める

施設探しは、本人の様子が急に変わってから動き始めると選択肢が限られてしまう。

地域包括支援センターやケアマネジャーに相談すれば、本人の要介護度や症状に合う施設の候補を一緒に整理してもらえる。市区町村の高齢福祉を担当する窓口でも、地域の施設情報を教えてもらえる。

見学や相談を早めに重ねておくことで、いざ入居が必要になったときに落ち着いて判断しやすくなる。候補を2〜3施設に絞り、優先順位をつけておくと安心だ。

家族だけで決めると、本人の意向が置き去りになりやすい。本人が話せる状態であれば、どんな暮らしを望むかをできる限り聞いておきたい。

認知症の方が入居できる老人ホームの種類と特徴の違い

認知症対応の老人ホーム3種類を比較した図解

認知症の方が入居できる老人ホームには、主に3つの種類がある。それぞれ運営の仕組みや規模、対象となる症状の段階が異なる。

名前が似ている施設もあるため、特徴の違いを押さえておくと見学先を絞りやすい。資料だけで判断せず、実際の運営方針を見学で確かめることが欠かせない。

グループホーム(認知症対応型共同生活介護)

グループホームは、認知症の診断を受けた方を対象にした小規模な共同生活の場だ。

1事業所あたり1〜2ユニットで運営され、1ユニットの定員は5人以上9人以下と決められている。独立行政法人福祉医療機構の資料による。

居室は原則個室で、広さは7.43平方メートル・和室4.5畳以上と定められている。日中は利用者3人につき介護従業者1人以上、夜間はユニットごとに1人の配置が基準だ。

家事を分担したり、同じ顔なじみのスタッフと接する時間が長いため、落ち着いて過ごしやすいという特徴がある。調理や洗濯など、できることを本人のペースで続けられる施設も多い。

地域密着型サービスにあたるため、原則としてその事業所がある市区町村に住む人が対象になる。住んでいる地域で探す必要がある点は覚えておきたい。

ユニット数が少ない分、1ユニットあたりの空き部屋も限られる。気になる施設があれば、早めに見学と申し込みの相談をしておくとよい。

介護付き有料老人ホーム

介護付き有料老人ホームは、民間事業者が運営する施設で、介護・医療・生活支援を一体的に受けられる。

グループホームより規模が大きく、医療機関との連携体制を整えている施設も多い。症状が進んで医療的なケアの比重が増えても、住み替えずに対応できる場合がある。

レクリエーションや機能訓練などのプログラムが充実している施設もあり、本人の好みに合う活動を続けられることもある。

介護スタッフが施設に常駐する「一般型」と、外部の介護事業者と契約して利用する「外部サービス利用型」があり、人員体制や対応できる症状の幅に違いが出る。

運営会社によって設備やサービスの充実度、費用の幅が大きく異なるのが特徴だ。見学で複数を比べ、本人の症状や好みに合うかを確かめる必要がある。

特別養護老人ホーム(特養)

特別養護老人ホームは、公的な性格の強い介護施設で、原則として要介護3以上の方が対象になる。

費用が比較的抑えられる一方、希望者が多く、申し込んでもすぐに入居できないことが多い。

認知症があっても、身体的な介護度の基準を満たせば入居対象になる。

個室を中心とした「ユニット型」と、相部屋が中心の「従来型」があり、同じ特養でも暮らし方の雰囲気が異なる。見学時にどちらの形式かを確認しておきたい。

地域や施設によって待機期間に差があるため、早めの申し込みが実質的な対策になる。複数の施設に同時に申し込んでおく家族も多い。

認知症の方に合う老人ホームを選ぶときの基準と注意点

種類がわかったら、次は本人に合う施設を見極める段階に入る。老人ホームは外観や料金だけでは判断しきれない部分が多い。

同じグループホームでも、施設ごとに雰囲気やスタッフの対応は大きく違う。複数の基準を組み合わせて見極めることが大切だ。

老人ホームを見学する家族とスタッフの様子

認知症ケアの方針・実績を確認する

施設によって、認知症ケアへの力の入れ方は大きく異なる。

スタッフの認知症介護実践者研修の受講状況や、徘徊・不安への対応の仕方を具体的に質問してみるとよい。

「どう対応していますか」という問いに、抽象的な答えしか返ってこない施設は、実績の蓄積が薄い可能性がある。具体的な事例を挙げて説明できる施設のほうが信頼しやすい。

認知症ケアに力を入れている施設では、本人の表情や言葉から不安の原因を探る対応を重視していることが多い。説明のしかたにも、その施設の姿勢が表れる。

本人の症状・生活歴との相性を見る

認知症の症状は人によって現れ方が大きく違う。

長年の生活習慣や趣味を活かせる環境かどうかも、本人が落ち着いて過ごせるかに関わってくる。たとえば畑仕事をしてきた人なら、庭の手入れができる施設は精神的な安定につながりやすい。

見学時には、本人の普段の様子をスタッフに具体的に伝え、どう対応できるか聞いておくと判断の手がかりになる。

夕方に落ち着かなくなる・特定の言葉に敏感になるなど、本人特有の傾向があれば、あらかじめ共有しておくと施設側も対応しやすくなる。

見学時に確認したいポイント

  • 日中・夜間それぞれの職員の配置人数
  • 他の入居者の様子や表情、施設全体の雰囲気
  • 急な体調変化時に連携する医療機関の有無
  • 面会・外出に関するルールと実際の運用

これらは入居後の暮らしやすさに直結する項目だ。パンフレットには書かれていないことも多く、職員に直接聞くことで実態が見えてくる。

見学は複数回、時間帯を変えて

1回の見学だけでは施設の実際の雰囲気はつかみにくい。日中と夕方など時間帯を変えて複数回訪れると、職員の対応や入居者の様子をより正確に見極められる。

認知症の方の老人ホーム入居にかかる費用の目安

施設種類別の入居費用・月額費用の目安を示す図解

施設種類ごとの費用の違い

老人ホームの費用は、施設の種類と運営形態によって大きく変わる。入居前に月々の支払いが無理なく続けられるかを確認しておくことが大切だ。

グループホームは、入居金が数十万円台、月額利用料は15万円前後が目安になる施設が多い。地域や施設の設備によって差がある。

介護付き有料老人ホームは幅が非常に広く、入居金が不要な施設から数百万円かかる施設まで様々だ。月額は15万円から30万円以上と、設備やサービスの充実度に応じて差が出る。

特別養護老人ホームは入居金が不要で、月額は10万円台に収まることが多い。費用を抑えやすい一方、希望者が多く入居までの期間が読みにくい。

どの施設でも、月額費用には居住費・食費・介護サービス費が含まれ、要介護度によって介護保険の自己負担分が変動する点は共通している。

認知症の症状が進み、介護度が上がるほど介護サービス費の自己負担も増えていく傾向がある。入居時だけでなく、将来的な費用の推移も見込んでおきたい。

費用を抑えるための制度・工夫

介護保険の負担限度額認定を受けられれば、食費・居住費の負担を軽減できる場合がある。自治体の窓口やケアマネジャーに相談してみるとよい。

高額介護サービス費制度を使うと、1か月の介護サービス費の自己負担が一定額を超えた分が返還される。申請しないと適用されないため、忘れずに手続きしたい。

医療費と介護費の両方がかさむ場合は、高額医療・高額介護合算療養費制度の対象になることもある。どの制度が使えるかは家計の状況によって異なるため、窓口で確認するのが確実だ。

本人の年金額や資産状況によって無理のない予算は変わる。

家族だけで決めず、ケアマネジャーや施設の相談員に収支の見通しを一緒に確認してもらうと安心だ。長期間の入居を見据え、無理のない範囲で選ぶことが何より大切になる。

よくある質問

認知症の症状が重くなっても老人ホームに住み続けられますか。

施設によって対応できる範囲は異なる。介護付き有料老人ホームや特別養護老人ホームは、医療連携体制があれば症状が進んでも住み続けられる場合が多い。一方、グループホームは、医療的なケアが常時必要になると退去を求められることもあるため、入居前に方針を確認しておくとよい。

グループホームと介護付き有料老人ホームはどちらが認知症に向いていますか。

どちらが向いているかは、本人の症状や住んでいる地域によって異なる。グループホームは少人数の家庭的な環境が合う方に向き、介護付き有料老人ホームは医療的なケアの比重が増えた場合にも対応しやすい。両方を見学して比較するのが確実だ。

特別養護老人ホームはすぐに入居できますか。

多くの地域で希望者が多く、申し込んでもすぐには入居できないのが実情だ。要介護度や緊急性によって優先順位が決まるため、早めに申し込みを済ませておくことが実質的な対策になる。

グループホームは他の市区町村の施設にも入居できますか。

グループホームは地域密着型サービスにあたるため、原則としてその事業所がある市区町村に住む人が対象になる。住んでいる地域の施設から探す必要がある点に注意したい。

認知症の家族の施設探しは誰に相談すればよいですか。

まずは地域包括支援センターやケアマネジャーに相談するのが基本だ。本人の要介護度や症状をもとに、候補となる施設の種類や地域の空き状況を整理してもらえる。

認知症の方の老人ホーム探しはいつ始めるのがよいですか。

症状がまだ軽いうちから情報収集を始めるのが望ましい。施設には受け入れ可能な症状の範囲や待機期間があり、早めに動くほど選べる選択肢が広がるためだ。

まとめ

認知症の方が入居できる老人ホームには、グループホーム・介護付き有料老人ホーム・特別養護老人ホームという3つの選択肢がある。

それぞれ対象となる症状の段階や費用、地域の制約が異なるため、本人の状態に合わせて比較することが欠かせない。

見学や相談を早めに重ね、認知症ケアの実績や本人との相性を確かめながら、焦らず選んでいきたい。

費用や制度は複雑に感じられるかもしれないが、ケアマネジャーや施設の相談員に確認しながら進めれば、一つずつ整理できる。本人にとって無理のない暮らし方を、家族で一緒に見つけていきたい。

本記事は公的統計・調査データをもとにそなえ暮らしガイド編集部が作成しています。施設選びや医療・介護に関わる判断は、必ず専門家や自治体の窓口にご確認ください。

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そなえ暮らしガイド編集部です。終活・老後の暮らしにまつわる情報を、公的機関の統計・調査データや各分野の一次情報をもとに、わかりやすくお届けしています。

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