葬儀の挨拶には、遺族が参列者へ感謝を伝える「喪主挨拶」と、参列者が遺族にかける「お悔やみの言葉」の2つがあります。
どちらも長々と話す必要はなく、通夜終了時・出棺前・精進落としの節目ごとに1〜2分程度の簡潔な言葉でまとめるのが基本です。
「たびたび」「重ね重ね」といった忌み言葉を避けることも、共通して気をつけたいポイントです。
葬儀の挨拶とは?喪主・参列者それぞれの役割
葬儀の挨拶は、大きく分けて「喪主が参列者に向けて感謝を伝える挨拶」と「参列者が遺族にかけるお悔やみの言葉」の2種類があります。
喪主挨拶は通夜終了時・告別式の出棺前・精進落としの開始と終了という節目で行うのが一般的で、参列者のお悔やみの言葉は受付や焼香の前後、短い言葉で伝えます。
どちらも共通しているのは、長く話しすぎないことと、忌み言葉を避けることです。喪主は悲しみの中で慣れない場での挨拶を求められるため、事前に要点だけメモにまとめておくと当日落ち着いて話せます。
喪主の挨拶【通夜終了時】例文
葬儀社「葬儀の喪主挨拶にそのまま使える例文」によると、通夜終了時の挨拶は、参列へのお礼と翌日の告別式の案内を簡潔に伝えるのが基本です。以下のような文言が定番として使われます。
「本日はご多用の中、故人〇〇の通夜にご参列いただき、心より御礼申し上げます。
おかげさまで通夜の儀を滞りなく終えることができました。
なお、明日の告別式は〇時より執り行いますので、お時間の許す方はご参列いただければ幸いです。本日は誠にありがとうございました。」
参列者への感謝、通夜が無事終わった報告、翌日の案内という3つの要素を押さえれば、細かい言い回しは状況に合わせて変えてかまいません。
喪主が体調面や気持ちの面で挨拶をするのが難しい場合は、親族の代表者が代わりに挨拶をしても問題ありません。
無理をして本人が話す必要はなく、状況に応じて柔軟に対応してよい場面です。
読み上げる際は、早口にならないよう、ゆっくりとした口調を意識します。
緊張して声が震えてしまっても、参列者はその状況を十分理解しているため、気にしすぎる必要はありません。
事前にメモを用意しておき、当日はそれを読み上げる形でまったく問題ないとされています。
喪主の挨拶【告別式・出棺前】例文
出棺前の挨拶は、故人が生前お世話になったことへの感謝を中心に、家族を代表して伝えるものです。この場面が、葬儀全体の中でも最も参列者の心に残る挨拶になることが多いとされています。

「本日はご多用のところ、故人〇〇の葬儀・告別式にご会葬いただき、誠にありがとうございました。
生前賜りましたひとかたならぬご厚誼につきまして、家族一同、故人に代わりまして厚く御礼申し上げます。
今後とも、変わらぬお付き合いのほど、よろしくお願い申し上げます。」
この挨拶に、故人との具体的なエピソードを一言添えると、より心のこもった内容になります。
ただし長くなりすぎないよう、エピソードは1つに絞るのがコツです。
「闘病中も周囲を気遣う人でした」のような具体的な一言があるだけで、定型文だけの挨拶より参列者の印象に残りやすくなります。
出棺前の挨拶は、その場にいる誰もが緊張する場面です。
事前に葬儀社の担当者に相談すれば、話す長さやタイミングについてアドバイスをもらえることも多いため、不安な場合は遠慮なく質問しておくとよいでしょう。
担当者は多くの葬儀に立ち会っているため、状況に応じた具体的な助言をもらえます。
喪主の挨拶【精進落とし】例文
精進落としの開始時は食事の案内を、終了時は締めくくりの感謝を伝えます。
開始時は「ささやかではございますが、お食事をご用意いたしました。
故人を偲びながら、ごゆっくりお過ごしください」といった簡潔な言葉で十分です。
終了時は「本日は最後までお付き合いいただき、誠にありがとうございました。
皆様に温かくお見送りいただき、故人も喜んでいることと思います」のように、参列者への感謝で締めくくります。
精進落としの挨拶は、通夜・出棺前の挨拶よりもさらに短くまとめてよい場面です。
精進落としの場では、参列者同士が故人の思い出話を交わす時間でもあるため、喪主が話しすぎて場の雰囲気を締めすぎないよう配慮することも大切です。
開始の挨拶は「食事を始めてよい」という合図の役割も兼ねているため、あまり重くならない程度の長さにまとめておくと、参列者も落ち着いて食事に移れます。
参列者のお悔やみの言葉【例文】
参列者が遺族にかけるお悔やみの言葉は、「このたびはご愁傷様でございます」「心よりお悔やみ申し上げます」といった定型の一言で十分です。
遺族は式の準備や他の参列者への対応で忙しいため、長い会話は避け、手短に済ませる配慮が求められます。
故人と親しかった場合は、「〇〇さんには大変お世話になりました」のように一言添えても構いませんが、遺族の負担にならないよう、目安として1分以内で切り上げるのがマナーです。
話の途中で遺族が次の対応に移ろうとしたら、無理に引き止めないようにしましょう。
言葉に詰まってしまっても構いません。「かける言葉が見つかりません」という一言も、十分に気持ちの伝わるお悔やみの言葉として受け止められます。
大切なのは流暢に話すことではなく、誠実な気持ちを込めることです。
遺族との関係性によっては、握手や軽い会釈だけで気持ちを伝える場面もあり、必ずしも言葉を発する必要すらありません。
葬儀で避けるべき忌み言葉一覧
忌み言葉には、不幸が重なることを連想させる「重ね言葉」と、死を直接的に表す言葉の2種類があります。
「たびたび」「重ね重ね」「再び」「追って」といった重ね言葉は、不幸が繰り返されることを連想させるため避けます。

「死亡」「死去」は「ご逝去」「ご永眠」に、「生きていた頃」は「お元気な頃」に、「急死」は「突然のこと」のように、死を直接的に表す言葉は婉曲的な表現に言い換えます。
迷ったら「繰り返しを連想させないか」「死を直接的に表現していないか」の2点を意識すれば、大きく外すことはありません。
ほかにも「消える」「大変」「浮かばれない」といった言葉も、状況によっては不吉さを連想させるため避けられます。
ただし、これらすべてを完璧に覚えておく必要はありません。
話しているうちに気になる言葉が出てきたら、その場で別の言い方に置き換える程度の心構えで十分です。
日常会話でうっかり使ってしまっても、相手も特別な場面であることを理解しているため、過度に気にしすぎる必要はありません。
宗教別の言葉遣いの違い
「ご冥福をお祈りします」「成仏」「供養」といった言葉は仏教特有の考え方にもとづくため、他の宗教の葬儀では使わないよう注意が必要です。
神道やキリスト教の葬儀でこれらの言葉を使うと、宗教観の違いから不自然、あるいは失礼な印象を与えることがあります。
キリスト教では「死」自体を「神のもとに召される」ものと捉えるため、プロテスタントでは「召天」、カトリックでは「帰天」という言葉が使われます。
宗教が分からない場合は、「このたびは謹んでお悔やみ申し上げます」のように、宗教色のない一般的な言葉を選んでおくと安心です。
神道の葬儀(神葬祭)では、「霊璽(れいじ)」「帰幽(きゆう)」といった独自の言葉が使われますが、参列者がこれらを正確に使いこなす必要はありません。
むしろ不慣れなまま無理に専門用語を使うより、シンプルな言葉でお悔やみを伝えるほうが、遺族にとっても自然に受け取ってもらえます。
弔電・手紙での挨拶のポイント
弔電や手紙で送る場合も、話し言葉と同じく忌み言葉を避け、簡潔にまとめるのが基本です。
書き言葉では、句読点を打たない慣習がある点にも注意してください。
これは「区切りをつけない=故人との縁を切らない」という意味合いによるものです。

弔電の宛名は喪主のフルネームにするのが基本ですが、故人と喪主の続柄が分からない場合は、電報サービスの窓口に相談すれば適切な宛名を案内してもらえます。
文面はテンプレートを使っても失礼にはあたらないため、忌み言葉のチェックさえ済ませれば、無理に独自の文章を作る必要はありません。
弔電は、通夜・告別式の開始時刻までに届くよう手配するのが望ましいとされています。
会社関係など、複数名でまとめて送る場合は、代表者名と部署名を明記し、個人名を書ききれない場合は「〇〇部一同」とまとめても失礼にはあたりません。
手紙で気持ちを伝える場合も、同様に忌み言葉を避け、時候の挨拶などの前置きは省略してすぐに本題に入るのが一般的です。
よくある質問
- 喪主の挨拶は暗記しなければいけませんか?
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暗記する必要はありません。メモを見ながら話しても失礼にはあたらないため、要点を紙に書いておき、それを見ながら落ち着いて話すことをおすすめします。
- お悔やみの言葉に「頑張ってください」は使ってもいいですか?
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避けたほうが無難です。すでに大変な状況にある遺族に「頑張れ」と伝えるのは負担を与えかねません。「何かあればいつでもご連絡ください」といった言葉に置き換えるとよいでしょう。
- 忌み言葉を言ってしまった場合はどうすればいいですか?
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過度に気にしすぎる必要はありません。言い間違いに気づいたら、さりげなく別の表現で言い直せば十分です。相手も特別な事情の中での発言だと理解してくれます。
- 子どもが参列する場合、挨拶はどうすればいいですか?
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子どもに大人と同じような挨拶を求める必要はありません。保護者が代わりに一礼するか、簡単な会釈で十分とされています。
- オンライン参列の場合、挨拶はどうすればいいですか?
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配信を通じて視聴している場合は、その場でのお悔やみの言葉は不要です。後日、弔電や手紙、あるいは落ち着いた時期に電話で気持ちを伝える方法が一般的です。
- 喪主挨拶で泣いてしまっても大丈夫ですか?
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問題ありません。感情があふれるのは自然なことで、参列者もその状況を十分理解しています。無理に話を続けようとせず、少し間を置いてから続けても失礼にはあたりません。
まとめ
葬儀の挨拶は、喪主挨拶・参列者のお悔やみの言葉のどちらも、長々と話すのではなく簡潔にまとめることが基本です。
忌み言葉(重ね言葉・死を直接表す言葉)を避け、宗教によって言葉遣いが異なる点にも配慮すれば、大きく作法を外すことはありません。
喪主は事前にメモを用意しておく、参列者は手短にお悔やみを伝えるという心構えだけで、当日は十分に対応できます。
完璧な言葉選びよりも、故人や遺族を思う気持ちを込めることのほうがずっと大切です。
弔電・手紙で気持ちを伝える場合も、同じ考え方で文面を整えてみてください。

