生前整理のやり方は、大きく分けて「物品」「財産」「エンディングノート」「デジタルデータ」の4ステップで進めるのが基本です。元気で判断力があるうちに、身の回りのものや情報を整理しておくことで、将来の自分や家族の負担を大きく減らせます。
この記事では、生前整理の具体的な進め方を4つのステップに分けて解説し、始めるタイミングや業者に依頼する場合の費用相場まで、初めて生前整理に取り組む方にもわかりやすくまとめました。読み終える頃には、今日から何を始めればよいかが具体的にイメージできるはずです。
生前整理とは|まずは4ステップの全体像をチェック

生前整理とは、元気なうちに自分の持ち物や財産を見直し、「残すもの」と「手放すもの」を整理しておくことです。単なる片付けと違い、これからの生活や家族への影響も考えながら進める点が特徴です。
やることが多く感じられますが、順番に整理すると次の4ステップに集約できます。
- 身の回りの物を「残す・手放す」に仕分ける
- 預貯金・不動産などの財産を把握する
- エンディングノートに希望や情報をまとめる
- スマホやパソコンのデータ・アカウントを整理する
次の章から、それぞれのステップの具体的な進め方を見ていきましょう。
生前整理の進め方①身の回りの物を整理する
生前整理の最初のステップは、衣類・食器・書類などの身の回りの物を「残す」「手放す」「保留」の3つに仕分けることです。判断に迷うものを一時的に「保留」に分けておくと、作業が止まらずスムーズに進みます。
特に写真や手紙などの思い出の品は仕分けに時間がかかりやすいため、最初は衣類や日用品など判断しやすい物から着手するのがおすすめです。不要と判断した物は、自治体のゴミ収集のほか、フリマアプリやリサイクルショップでの売却も選択肢になります。
骨董品や着物、貴金属など価値がわからない物が出てきた場合は、無料査定を利用して価値を確認してから手放すかどうかを判断すると、思わぬ処分損を防げます。
物量が多く自分たちだけでは進めにくい場合は、後述する生前整理業者への依頼も検討してみましょう。
仕分けの際は、「1年以上使っていない物は手放す候補にする」といった具体的な基準を先に決めておくと、一つひとつ悩む時間を減らせます。特に衣類や食器は同じ用途の物が複数あるケースが多いため、数を絞る意識を持つだけでも整理が進みやすくなります。写真や手紙などどうしても手放しづらい物は、無理に処分せず、まとめて箱に入れて保管場所を決めておくだけでも十分な整理といえます。
生前整理の進め方②財産を整理する
2つ目のステップは、預貯金・株式・不動産などの財産をすべて洗い出し、一覧表にまとめることです。財産の全体像を把握しておくことは、後述するエンディングノートや遺言書を作成するうえでの土台になります。
具体的には、銀行口座(金融機関名・支店・おおよその残高)、証券口座、生命保険の契約内容、不動産の所在地と権利関係、借入金やローンなどの負債まで、プラスの財産とマイナスの財産の両方を書き出しておくと安心です。
財産の一覧化は、相続が発生した際に家族が金融機関や役所を一つずつ回って調べる手間を大きく減らします。特に、家族も把握していないネット銀行やネット証券の口座は、情報を残しておかないと発見自体が困難になるため、優先して整理しておきたい項目です。
財産の一覧表は、いきなり完璧なものを作ろうとしなくてかまいません。まずは通帳やキャッシュカード、証券会社からの郵便物、保険証券などを一箇所に集めることから始め、金融機関名と口座番号の下4桁程度を書き出すだけでも十分な第一歩になります。定期的に内容を見直し、口座を解約・統合した際には一覧表もあわせて更新しておきましょう。
生前整理の進め方③エンディングノートを書く
3つ目のステップは、整理した財産の情報や、医療・介護・葬儀に関する希望をエンディングノートにまとめることです。エンディングノートには法的な効力はありませんが、家族が判断に迷ったときの重要な指針になります。
書く項目に迷ったら、まずは「財産の一覧」「延命治療や介護に関する希望」「葬儀・お墓の希望」「連絡してほしい人のリスト」の4点から埋めていくとよいでしょう。すべてを一度に完成させる必要はなく、書けるところから少しずつ書き足していく形で十分です。
市販のエンディングノートを使うほか、無地のノートに自分なりの項目を作って書いても問題ありません。大切なのは、いざというときに家族がノートの存在と保管場所をわかっている状態にしておくことです。
また、エンディングノートの保管場所は、家族に一言伝えておくか、目につきやすい場所に保管しておくことも忘れずに行いたいポイントです。せっかく書いても、存在を誰も知らなければ本人が望んだ形で活用されません。金庫の中など厳重にしまいすぎるとかえって発見が遅れることもあるため、保管場所の共有までがワンセットと考えておきましょう。
生前整理の進め方④デジタル終活(データ整理)を行う
4つ目のステップは、スマートフォンやパソコンの中のデータ、各種サービスのIDやパスワードを整理する「デジタル終活」です。近年は写真や連絡先、ネット銀行やサブスクリプションの契約情報まで、多くの情報がデジタル上にしか存在しないケースが増えています。
本人しかログイン方法を知らないサービスがあると、家族は解約や名義変更の手続きができず、有料サービスの契約が残り続けてしまうこともあります。すべてのパスワードを書き残す必要はなく、まずは「利用しているサービス名の一覧」と「パスワード管理アプリの有無・マスターパスワードの保管場所」を家族と共有しておくだけでも大きな備えになります。
SNSアカウントについても、亡くなった後にどう扱ってほしいか(追悼アカウント化、削除など)の希望を書き残しておくと、家族が判断に迷わずに済みます。
スマートフォンのロック解除方法(パスコードや生体認証の有無)が分からず、家族が写真データすら取り出せなくなるケースも少なくありません。デジタル終活は「見られたくない情報を隠す」ことと「必要な情報を家族に引き継ぐ」ことのバランスを取る作業だと捉えておくと、無理なく進めやすくなります。
生前整理を始めるタイミングはいつがいい?
生前整理を始めるタイミングとして最も適しているのは、体力や判断力に余裕がある60代前後です。定年退職や子どもの独立など、生活の節目を迎えるタイミングで始める方が多く見られます。
体力が必要な物品整理は、年齢が上がるほど負担が大きくなります。また、判断力が求められる財産整理やエンディングノートの作成も、判断能力がしっかりしているうちに取り組んでおく方が、内容の正確性や本人の納得感の面でも安心です。
「まだ早いのでは」と感じる方も多いですが、生前整理は一度で終わらせる必要はなく、体調や環境の変化に合わせて少しずつ更新していくものです。思い立ったときが始めどきと考えてよいでしょう。
一方で、持病の診断を受けたタイミングや、配偶者を亡くしたタイミングをきっかけに始める方も多くいます。大きなきっかけを待つ必要はなく、「今日、引き出し一つだけ整理してみる」といった小さな一歩からでも始められます。始めることそのものへのハードルを下げておくことが、生前整理を継続するコツです。
生前整理を業者に依頼する場合の費用相場

想い出整理の窓口の調査によれば、生前整理を業者に依頼する場合の費用相場は、1K・1Rで25,000〜50,000円、1DK・1LDKで50,000〜80,000円、2DK・2LDKで90,000〜150,000円、3DK・3LDKで150,000〜250,000円、4LDK以上で200,000〜400,000円程度です。
費用は物量や作業条件によって変動するため、正確な金額を知るには現地見積もりが欠かせません。費用を抑えるコツとしては、事前に明らかな不要品を自分で処分しておく、骨董品など買取可能な品物を把握しておく、複数社から見積もりを取って比較するといった方法が有効です。3月〜4月の引越しシーズンは料金が上がりやすいため、時期をずらせる場合はそれも費用を抑えるポイントになります。
見積もりを比較する際は、金額の安さだけでなく作業内容の内訳(仕分け・搬出・清掃・買取査定などがどこまで含まれるか)を確認することも欠かせません。安さだけで選ぶと、追加料金や作業範囲外の対応で結果的に割高になるケースもあるため、見積書は総額だけでなく内訳まで目を通す習慣をつけましょう。
生前整理で失敗しないためのポイント
生前整理で失敗しないためには、「一度にすべて終わらせようとしない」ことが最も重要なポイントです。物量が多いほど途中で疲れてしまい、挫折の原因になります。
1部屋・1週末など小さな範囲を区切って進めると、達成感を積み重ねながら無理なく続けられます。家族に手伝ってもらう場合は、事前に「残すもの」の基準をすり合わせておくと、後からのトラブルを防げます。
業者に依頼する場合も、契約前に作業範囲と追加料金の有無を書面で確認しておくことが大切です。「追加請求なし」を明記している業者を選ぶことで、想定外の出費を避けられます。
もう一つ意識しておきたいのが、本人だけで判断せず、家族と定期的に進捗を共有することです。本人が「もう終わった」と思っていても、財産の一覧やエンディングノートの内容が古いままでは意味がありません。年に一度、誕生日や年末など決まったタイミングで内容を見直す習慣をつけておくと、生前整理を無理なく続けやすくなります。
生前整理に関するよくある質問
- 生前整理は何歳から始めるべきですか?
-
明確な年齢の決まりはありませんが、体力・判断力に余裕がある60代前後から始める方が多く見られます。定年退職や子どもの独立など、生活の節目で始めるのがおすすめです。
- 生前整理と遺品整理の違いは何ですか?
-
生前整理は本人が元気なうちに自分で行う整理、遺品整理は本人が亡くなった後に遺族が行う整理という違いがあります。生前整理を進めておくことで、遺品整理の負担を大きく減らせます。
- 生前整理は一人でもできますか?
-
物量が少なければ一人でも十分に進められますが、体力的な負担が大きい場合や物量が多い場合は、家族に手伝ってもらうか業者への依頼を検討するとよいでしょう。無理のない範囲で進めることが大切です。
- エンディングノートはどこで手に入りますか?
-
書店や100円ショップ、自治体の窓口などで市販のエンディングノートが手に入ります。無地のノートに自分なりの項目を作って書いても問題ありません。
- 生前整理の業者はどう選べばいいですか?
-
複数社から見積もりを取り、作業範囲と追加料金の有無を書面で確認できる業者を選ぶことが基本です。実績や口コミもあわせて確認しておくと安心です。
まとめ
生前整理のやり方は、「身の回りの物」「財産」「エンディングノート」「デジタルデータ」の4ステップで進めるのが基本です。体力・判断力に余裕がある60代前後から、無理のない範囲で少しずつ始めていきましょう。
一度にすべてを終わらせる必要はありません。まずは身の回りの物から手をつけてみる、あるいはエンディングノートの1ページ目を書いてみるところから始めてみてください。終活の他のテーマについて詳しく知りたい方は、当サイトの各カテゴリ記事もあわせて参考にしてください。
※本記事は公的統計・調査データをもとにそなえ暮らしガイド編集部が作成しています。法律・税務・医療に関わる判断は、必ず専門家にご確認ください。

