老人ホームには、介護付き有料老人ホーム・住宅型有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)・特別養護老人ホーム(特養)・グループホームの5種類が代表的です。「老人ホーム」とひとくくりに言っても、受けられる介護の内容や費用、入居条件は種類によって大きく異なります。
この記事では、老人ホームの主な種類とそれぞれの違いを、費用相場・向いている人まで含めて整理しました。読み終える頃には、自分や家族に合いそうな種類の見当がつくはずです。
「そもそも老人ホームと介護施設は同じもの?」「サ高住や特養との違いがよく分からない」という声は非常に多く聞かれます。名称が似ていても、運営主体(民間か公的か)、受けられる介護の範囲、入居条件、費用相場はそれぞれ大きく異なるため、混同したまま比較すると本当に必要な種類を見誤ってしまうことがあります。まずは5つの種類の全体像をつかむところから始めましょう。
老人ホームの種類は大きく5つ|まずは全体像をチェック

老人ホームの種類は、大きく分けて次の5つが代表的です。民間運営か公的施設か、受けられる介護の範囲、入居条件によって、向いている人が変わります。
- 介護付き有料老人ホーム
- 住宅型有料老人ホーム
- サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
- 特別養護老人ホーム(特養)
- グループホーム
大きく分けると、介護付き・住宅型・グループホームは民間事業者が運営する施設、特養は市区町村や社会福祉法人が運営する公的施設、サ高住はバリアフリー賃貸住宅という位置づけです。公的施設は費用を抑えやすい一方で入居条件や待機期間の制約があり、民間施設は費用の幅が大きい代わりに比較的柔軟に入居先を選べる、という傾向を押さえておくと、次章以降の違いも理解しやすくなります。
次の章から、それぞれの特徴と違いを詳しく見ていきましょう。
介護付き有料老人ホームとは
介護付き有料老人ホームは、施設のスタッフが24時間体制で介護サービスを提供する民間施設です。「特定施設入居者生活介護」の指定を受けており、食事・入浴・排泄などの介護から、レクリエーションまで幅広く対応しています。
LIFULL介護の調査によれば、入居時費用は0〜数千万円、月額費用は15万〜35万円程度が相場です。費用の幅が非常に大きいため、複数施設を比較することが欠かせません。
重度の介護が必要な方や、看取りまで同じ施設で過ごしたいと考える方に向いています。人気の高い施設では入居まで数か月待つケースもあるため、早めの情報収集が安心につながります。
スタッフの配置基準は施設によって「要介護者3人に対して職員1人以上」などと定められており、比較検討する際はこの人員配置やレクリエーションの充実度も確認しておきたいポイントです。看護師が常駐しているかどうかも、医療的なケアが必要になったときに大きく影響します。
住宅型有料老人ホームとは
住宅型有料老人ホームは、生活支援サービスは受けられるものの、介護サービスは外部の訪問介護などを別途契約して利用する施設です。介護付きに比べて、比較的自立している方向けの位置づけになります。
費用相場は入居時費用0〜数千万円、月額費用12万〜30万円程度で、こちらも施設によって差が大きい項目です。介護が必要になった場合は、外部サービスの利用料が別途かかる点に注意が必要です。
まだ介護度は高くないものの、一人暮らしに不安がある、生活の見守りがほしいという方に向いています。将来的に介護度が上がった場合の対応方針も、事前に確認しておくと安心です。
住宅型のメリットは、比較的自由度が高く、外出や趣味の活動を続けやすいことです。一方で介護度が進行した場合、外部サービスの利用料がかさんで結果的に介護付きより高くつくケースもあるため、将来的な費用シミュレーションも含めて検討することをおすすめします。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)とは
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、バリアフリー構造の賃貸住宅に、安否確認と生活相談サービスが付いた住まいです。一般的な賃貸住宅に近い自由度の高さが特徴で、外出や来客の制限が少ない施設が多く見られます。
費用相場は入居時費用0〜100万円、月額費用10万〜30万円程度です。他の老人ホームに比べて初期費用を抑えやすい傾向があります。
自立〜軽度の要介護状態で、なるべく自分らしい生活を続けたい方に向いています。介護サービスが必要な場合は、住宅型と同様に外部の訪問介護等を別途契約する形になります。
サ高住は「登録制度」に基づく住宅のため、施設ごとに設備やサービス内容の差が大きいのも特徴です。安否確認・生活相談は必須サービスですが、食事提供や生活支援の充実度は施設によって異なるため、契約前に具体的なサービス内容を確認しておく必要があります。
特別養護老人ホーム(特養)とは
特別養護老人ホーム(特養)は、市区町村や社会福祉法人が運営する公的施設です。原則として65歳以上・要介護3以上の方が対象で、所得に応じた食費・居住費の減免制度もあります。
費用相場は入居時費用が原則0円、月額費用は5万〜15万円程度と、老人ホームの中でもっとも費用を抑えやすい選択肢です。費用の安さから人気が高く、地域によっては入居まで数か月〜数年待つこともあります。
費用面を最優先したい方、要介護度がすでに高い方に向いていますが、待機期間が長くなりやすい点は事前に理解しておく必要があります。
入居申込みは複数の特養に同時に申し込むことができ、申込み順ではなく介護の必要性や家族の状況を点数化した「優先度」で入居順が決まる仕組みが一般的です。そのため、待機期間中も他の種類の老人ホームやショートステイを併用しながら過ごす家庭も多く見られます。
グループホームとは
グループホーム(認知症対応型共同生活介護)は、認知症の診断を受けた方が、少人数で共同生活を送りながら介護を受ける施設です。1つのユニットが5〜9人程度と小規模で、家庭的な雰囲気の中で生活できるのが特徴です。
費用相場は入居時費用0〜100万円、月額費用15万〜30万円程度です。原則として施設と同じ市区町村に住民票がある方が対象になるなど、地域密着型サービスならではの条件があります。
認知症の症状はあるものの、身体的な介護度はそれほど高くない方に向いています。少人数体制のため、集団生活が苦手な方でも過ごしやすいという声もよく聞かれます。
入居できるのは要支援2以上で、かつ認知症の診断を受けている方が基本条件です。入居後に身体介護の必要度が上がった場合でも、住み慣れたユニット内でケアを継続できるケースが多い一方、施設によっては医療的なケアの体制に差があるため、持病がある場合は事前に対応可能な範囲を確認しておくと安心です。
老人ホームの種類による費用の違い

老人ホームの種類による費用の違いを改めて整理すると、もっとも費用を抑えやすいのは特別養護老人ホーム(月5万〜15万円)、もっとも幅が大きいのは介護付き有料老人ホーム(月15万〜35万円)です。同じ「老人ホーム」でも、月々数万円から数十万円まで差が生まれます。
費用だけで選ぶのではなく、受けられる介護の範囲や入居条件、待機期間とあわせて総合的に判断することが大切です。
また、月額費用には施設によって含まれる項目とそうでない項目に差がある点にも注意が必要です。家賃・食費・管理費は月額費用に含まれるのが一般的ですが、おむつ代や医療費、レクリエーションの実費などは別途かかることが多く、見学時や資料請求時に「月額費用に何が含まれているか」を必ず確認しておくと、入居後の想定外の出費を防げます。
老人ホームの種類の選び方
老人ホームの種類を選ぶ基準は、主に「現在の要介護度」「費用にかけられる予算」「入居までの緊急度」の3つです。要介護度が高く費用も抑えたい場合は特養、費用よりもサービスの手厚さを重視するなら介護付き有料老人ホームが候補になります。
資料請求で複数の施設を比較し、可能であれば実際に見学することをおすすめします。パンフレットだけでは分からない雰囲気やスタッフの対応は、見学でしか判断できません。
本人の希望と、家族が担える介護の負担のバランスを考えることも欠かせません。早めに情報収集を始めておけば、いざというときに慌てず選べます。
具体的には、まず「現在の要介護度」「毎月払える予算の上限」「入居したい時期」の3つを紙に書き出すところから始めるとスムーズです。この3条件を満たす種類を2〜3つに絞り込んだうえで資料請求すれば、候補が多すぎて決められなくなる事態を避けられます。本人の希望(自宅の近くがいい、個室がいい、など)と、家族が実際に担える送迎・面会の頻度も、あわせて条件に加えておきましょう。
老人ホームの種類に関するよくある質問
- 老人ホームの種類で一番費用が安いのはどれですか?
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特別養護老人ホーム(特養)が、月額費用5万〜15万円程度でもっとも費用を抑えやすい選択肢です。ただし原則要介護3以上が対象で、入居待機が長くなる傾向があります。待機期間が読めない場合は、費用は上がっても比較的入居しやすい介護付き・住宅型を並行して検討しておくと安心です。
- 介護付きと住宅型の違いは何ですか?
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介護付きは施設スタッフが介護サービスを提供するのに対し、住宅型は外部の訪問介護などを別途契約する点が大きな違いです。住宅型は比較的自立している方向けの位置づけです。将来的に介護度が上がる可能性を考えると、住宅型を選ぶ場合は近隣にどの程度訪問介護事業所があるかも確認しておくとよいでしょう。
- サ高住は老人ホームとは違うのですか?
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サ高住はバリアフリーの賃貸住宅に安否確認・生活相談が付いたもので、老人ホームより自由度の高い住まいという位置づけです。介護サービスは別途契約が必要です。契約形態も賃貸借契約が基本のため、施設によっては敷金・礼金に相当する費用がかかる点も他の種類と異なります。
- 認知症の場合はどの種類が向いていますか?
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認知症の診断を受けている場合は、少人数の共同生活を送るグループホームが選択肢のひとつです。ただし施設と同じ市区町村に住民票があることなど、条件がある点に注意してください。地域密着型のため施設数が限られており、希望のエリアに空きがあるとは限らない点もあわせて考慮しておきましょう。
- 老人ホームの種類はどこで比較できますか?
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各施設への資料請求や見学のほか、複数施設をまとめて比較できるサイトを利用する方法もあります。まずは気になる種類を2〜3つに絞って資料請求してみるとよいでしょう。地域包括支援センターやケアマネジャーに相談すると、地域の空き状況を踏まえた具体的な候補を教えてもらえることもあります。
まとめ
老人ホームの種類は、介護付き・住宅型・サ高住・特養・グループホームの5つが代表的です。要介護度・予算・入居の緊急度を踏まえて、自分や家族に合った種類を絞り込んでいきましょう。
種類選びは一度決めたら終わりではなく、本人の心身の状態が変化すれば見直しが必要になる場合もあります。まずは資料請求や見学を通じて情報を集め、迷ったときは家族だけで抱え込まず、ケアマネジャーや地域包括支援センターなど専門家にも相談しながら進めていくことをおすすめします。終活の他のテーマについて詳しく知りたい方は、当サイトの各カテゴリ記事もあわせて参考にしてください。
※本記事は公的統計・調査データをもとにそなえ暮らしガイド編集部が作成しています。法律・税務・医療に関わる判断は、必ず専門家にご確認ください。

